CBOのスケッチブック

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幻想の未来

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 昨日の「ザ・ボイス」(ニッポン放送)は良かったです。宮崎哲弥さんとゲストの南直哉(みなみじきさい)さんの対談で、たまには仏教の話も良いなと思いました。

 南直哉という人のことは知りませんでした。「禅僧が教える心がラクになる生き方」という本を書いたそうです。対談のなかでは、「無常」ということが語られました。無常とは生者必滅会者定離だけでなく、「ままならない」ことだそうです。それから、「本当の自分」とか「生きる意味」などは無く、これらがあると思うとうまくいかないのだと言います。

 そうだよねーと頷きながら聞いたあと、しばらくして、ボクの座右の書である「幻想の未来」を思い出しました。


 これは精神分析者の岸田秀の書いたものです。こちらは、自己放棄衝動と自己拡大衝動との正反対の二つの基本的衝動のあいだに引き裂かれている哀れな人間のことを書いた本です。救いはありません。

 最後の「自我の支えの否認」という章の冒頭部分を引用します。

 自我は支えがなければ存立し得ず、その支えは、かつては個人の外部にあると考えられた神やその他何らかの普遍的なもの(欧米の場合)、あるいは少なくとも、神ほど抽象的ではないにしても、とにかく個人を超えたところにあると考えられた世間とか先祖とか(日本の場合)に求められていたが、そういうものに対する信仰や崇敬が崩れ、そのあとは、個人の内部にあると考えられた「真の自己」や欲望に求められたが、これも自我の支えにならないことは、これまで述べてきたことから明らかになったと思う。

 どうですか。良いですね。救いはありません。


 悩み苦しんでいる時には、何か外からのキッカケで救われることがあるようです。どんな本でも、キッカケさえ掴めれば救われるのだと思います。たとえ、救いはないということが書かれた本でも…