CBOのスケッチブック

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The Broken Girls

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 シモーネ・セントジェームズという女流作家の2018年の作品です。邦訳版はまだ出ていないようです。Kindle版が安かったのでDLしました。幽霊の出て来る推理小説です。面白かったけど、少しこわいです。

 舞台はバーモント州のバロンズという町の、町外れに建つ女子寄宿学校です。1970年代に学校は潰れて廃墟になっています。1950年11月に、この寄宿舎のとある4人のルームメイトに起きた出来事と、2014年の11月、同じ町の女性記者に降りかかった出来事とが交互に語られます。この学校にはマリー・ハンドという少女の幽霊が出ます。

 1910年代から60年ほど続いた女子寄宿学校とはどんなところでしょうか。ここに登場する4人はみんなワケありな感じです。拳銃を口に咥えた叔父を目撃してから何も話さなくなったロベルタ。男の子にエッチなことをされて家へ逃げ帰ると、母親が情事の最中だったケイティ。富豪の非嫡出子セシリアは、海で母に体を押さえられて溺死しかけたようです。この3人は厄介払いの為に、世間から隔絶されたこの学校に送り込まれたのですね。4人目のソニアにはどんな過去があるのでしょうか。

 一方、この町に住む女性記者フィオナは2014年現在38歳。20年前に殺されて、アイドルウィルド(あの女子寄宿学校のことです)の校庭に遺棄された姉のことが忘れられません。犯人はすでに刑期を終えて、一家でコロラド州へ去りました。でも彼女の中では事件は終わっていないのです。恋人のジェイミーは警察官です。彼の言葉から、アイドルウィルドの再建計画を知り、取材を始めます。廃墟の片付けの始まっているなか、校舎の中を案内してもらうフィオナ。折しも、作業員達の騒ぎに遭遇しました。古井戸の底に少女の遺体があったのです。

 良くできた推理小説だと思います。おすすめです。