CBOのスケッチブック

素敵な絵をお届けします

Doomsday Book

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 アメリカの女性SF作家、コニー・ウィルスの1992年の作品です。邦訳版は「ドゥームズデイ・ブック」、早川書房から上下二巻で出ています。ボクは「The Rook」の作者の勧める小説10冊の中で知りました。ヒューゴー賞ネビュラ賞を両方取ったとかで、さぞかし面白かろうと思いましたが、そうでもありませんでした。

 


 主人公のキヴリンの苦労する様子が延々と続き、最後にダンワージーとコリンが助けに行って終わり、という感じです。ボクは、早く読み終わりたい(面白くて先が知りたいのではなく、早く次の本に取り掛かりたいからです)ばかりに辞書無し読書に切り替えて、読み終えるころには、辞書無し読書にだいぶ慣れたことが収穫でした。

 


 あといくつか、思い出しながら書きます。

 


 クリスマス前後の時期を描いている。わざわざそんな時期に行かなくてもいいのにと思いました。日本には、怠け者の節句ばたらきという言葉があります。もっと暖かい時期にでも行けば良かったのに。黒死病がこの地方に来たタイミングがこの時期なので、物語としての必然性はありますね。

 あちらのクリスチャンの皆さんにとっては、クリスマスの物語は受けるのでしょうか。クリスマスに最後の審判かぁ、とか。最後にダンワージーが必死になって鳴らした鐘で、ローシュ神父の魂が救われて、ホッとするのかな。

 口うるさいオバさんが病人の枕元で聖書を読む場面がたびたび出ます。ついに倒れてしまったダンワージーの元にもやってきて聖書を読み聞かせます。すると彼は、それじゃぁルカ伝の何章何節を、と指定しました。それが物語の進行に関係するような、しないような気がします。

 


 タイムマシンはあっても、携帯電話は無い。1992年だと、日本ではもう自動車電話は普及していたと思うので、みんなが自分用の電話を持ち歩くことは容易に想像できたろうに。ダンワージーが見知らぬ人に電話番を頼んだり、重要人物と連絡がとれない様子にイライラしました。

 


 自動翻訳機はすごい。キヴリンの脳に仕込んであるのか、人の言葉が理解できるし、自分のしゃべる言葉が口から出る時には変換されているようです。物語の序盤では、この翻訳機の調子が悪く、人々の話す古英語(だと思います)がイタリックで書かれていて、チンプンカンプンな感じが本当に中世のイギリスの村に来たんだというリアリティーに役立っていました。邦訳版ではどんな表現になっているのでしょうか。