CBOのスケッチブック

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メッセージ

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 ユナイテッドシネマわかばで「メッセージ」を見て来ました。面白かった。

 突然、世界各地に現れた巨大なUFO。そのまわりを取り囲む軍隊。主人公の女性は、兵士と一緒に中へ入っていって、異星人とコミュニケーションする為に駆り出された言語学者です。

 ところで最近BLOGOSで読んだ、杉本穂高という人の漫画の実写版の邦画を評した文を思い出しました。映画全体の、リアリティのレベルを合わせないとダメだという文でした。ここまでよくわかっている人が、よく邦画を見る気になるなと思いました。仕事なんでしょうね。

 つまり「メッセージ」も、見事にリアリティのレベルが合っていたのだと思います。荒唐無稽というか、実際にはありえないお話ですが、自然に引き込まれてしまいました。邦画のこうしたジャンルのものでは、まれにしか味わえない感覚です。まあ、異星人の姿かたちは別にして。

 ネタバレを書きます。

 主人公の回想シーンかと思った部分は、実は未来の出来事なのでした。時間を超越している異星人の言語を理解した主人公は、自分自身もそうした能力を授かったのでした。

 結婚して娘が生まれて、幸せもつかの間、夫と別れ、最愛の娘は10代のはじめに病気で亡くなってしまいます。しかし…。それでも、主人公は未来を受け入れる覚悟をするのでした。

 芥川龍之介の短編小説を思い出します。中国の昔話の「邯鄲の夢」の最後の部分を描いていました。一生をすべて見せてあげたのに、青年が元気に出て行ったので、仙人はその若さに嫉妬するという感じだったと思います。

 この前のボクのバイト先の職場では、いくつか異なる作業があって、毎朝、その日の分担を書いた紙が貼り出されました。バイトのおっさん達の名前の書かれた表で、午前はこれこれ、午後は何々と作業名が書いてあります。Yさんはこれを見ると、
「ああ、今日も終わったようなもんだな」
とよく言いました。
 ボクはいつも心の中で「あんたの人生も終わったようなもんだろう」と答えていました。

 最後には年を取って死ぬのだから、途中で若干紆余曲折はあったにしても、先は見えています。それを知りながらも、普通に生きていけるのだから、この主人公が特別偉いわけでもないかもしれませんね。