CBOのスケッチブック

素敵な絵をお届けします

少年航空兵像

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 前野隆司という人の「脳はなぜ「心」を作ったのか」という本を読みました。「心」は自分の生命を操る主体ではなくて、脳という超スーパーコンピューターが計算して行動した結果を眺めて、その結果を記憶の棚にファイルする前に、将来役立つようなキーワードをつける役目ですという、受動意識仮説が書いてあります。ボクの好きな考え方です。

 脳という超スーパーコンピューターは、自分(の身体)が行動する前に損得を計算して、善かれと思うような行動を選択します。この計算の時に、記憶の棚にファイルしてある過去の結果(エピソード記憶)をいろいろ参照して、貼り付いているキーワードを計算に役立てます。つまり、嬉しかったことや気持ちよかったことの価値は、苦しかったことよりも高くなっているのでしょう。

 「心」ありきではなく、こうした脳の仕組みをもつ猿人(「心」の前段階をもつ猿人)が持たない猿人よりも多く生き残り、そして長い年月をかけて磨きあげた仕組みを、「心」だと思っているということでしょう。ボクたちが幸せを感じにくいのは、喜びよりも、苦しみや悲しみの記憶をもつ猿人の方がより沢山生き残ったからでしょうか。

 万能ロボットを作るために、ボクたちが普通にイメージする、自分の生命の主体としての「心」をまず作って、それを人工知能に埋め込むのだと考えるのは間違いだと言えます。少しずつ改良していって、最後にヒトが望むように振る舞うロボットが出来れば良いのですから。

 ロボット君たちは、ボクたちの「心」と同じものは持たなくて良いと思います。ロボット君たちには、いつも安らかな心持ちでいて欲しいと思います。わざわざ、かわいそうな奴隷を作る必要はありません。

 

 この絵は、iPad mini 4 の Procreate で描きました。所沢市の航空公園のなかにある像です。